映画『君たちはどう生きるか』、観た
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公開日当日(R5.7.14)に観てきた
原作は読んでいないので原作要素があるのかどうかは知りません
でもハウルとかアリエッティとかも原作と違うってのは知ってるから大丈夫だと思います 多分原作とは違います 保証はしません
あらすじを書いてもしょうがないので、ただ一点、
「全体を通して生と死のメタファーが、監督の死生観が描かれていた」
という事についてつらつらと書いていきます そうじゃない事も書きます
思考の流れをコラムにしてそのまま書いていって、あとから各コラムに継ぎ足す形式で書くのであっちゃこっちゃ行きます
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雑想ノートを読んだりあと色々読んだりした人間なので、この年齢になってから今回の映画を見ると考えざるをえません 考察好きなオタクの脳みそをしているので。
幼少期に大空襲を経験していた筈で、その風景について語っている文章を読んだ記憶がある(要出典)
火
今回は"火事"
空襲の経験から火="死"のイメージがあるのではないかと思う
一方で本作では復活だとか再誕だとか生のイメージがあったように思う(火に巻かれて死んだ母がまさしく火の化身となっていたのはそういう事なのでは)
ナツコ(母の妹)
登場時点で妊婦
"生"ですね
エッチに聞こえるな エッチな意味じゃないです
眞人という名
「死の匂いがぷんぷんする」
真理を悟った人
事実、ジブリ映画主人公の中でも異質
確かに真っ直ぐな人間であるのは分かる
「東京さトコから来たヤツが生意気でよお」みたいな絡まれ方から喧嘩になった(しかも多分勝ってる。普通に歩いていたし)その後、側頭部に石を打ち付けた時は笑っちゃったけど 異質すぎて
あの描写だけでどういう人間なのか分かるから凄い しかも終盤に、石を打ち付けたのだけは、「やりすぎた"悪意"だった」と懺悔できる強さがある 強い男です彼は
ポケットにナイフは仕込んでねえのよ。いや分からん。当時は普通かもしれん。
坊ちゃんとか少年Hでもナイフが普通に出てきた気がする。覚えてないです
でも、普通は、一挙一動でポケットからナイフは取り出せねえのよ 殺意がデカすぎるだろ
殺生だけでなく自分を傷付ける行為への忌避感が無さすぎる だけれども、死んでしまったモノを弔う慈愛も持ち合わせている
なるほど真の人 人間味がない 故に「死の匂いが」するのかもしれない 適当言いました
中盤の「(それは積み木ではない。石だ)その石は悪意に塗れています」「だからこそ君に継いで欲しい」素晴らしい掛け合いだろ…
最終盤の「これは自分の悪意によって付けたキズだ。だからその石(悪意に染まる前の無垢な石)には触れられない」うおおお
下の世界
「地獄」とも 大叔父様の創った世界
始めに降り立った場所は"渚"
デスストの影響で(いい意味で)海=死のイメージがあるので「おっ」となるなどした
しかも水平線には夥しい数の帆。「船の墓場じゃん!!!!!!」になりました 詳しくは紅の豚を見てください
あまりにも殺風景で、しかしながら原初的な風景で、「地獄」だとか説明される前から「ああ、この世界は"死んで"るんだな」と分かる背景美術だったと思います
この辺から"死"と死生観に注目して映画を観ていました
墓(石室)、そして墓の主(正体不明)
なんだったんでしょうね マジで何?
わたわた
カワイイカワイイネ
上まで登ると上の世界で"生まれる"らしい
上昇していく時には二重らせん構造*1を描いていたので、つまりそういうことですね
石
自分自身を自分の意思(悪意)で傷付け、第三者を傷付ける為に使った"石"という要素そのものを"悪意"の象徴として描いたのか?と思ったがおそらく違う 違うので流して良い
なぜなら「世界の命運を賭けた」積み木が"石"でできているので(積み"木"じゃないだろ。眞人くんも突っ込んでた)
建材だとかに使われるように"創る"要素の一方で、「命運を賭けた」それそのものが"悪意"に塗れているのなら、つまりは下の世界は"悪意"によって構成されていると言ってもよい
「美しくするか、醜くするかは君次第だ」という大叔父様の言葉は、あまりに悲しすぎる 恐らく眞人が来るずっと前には自らが創った世界すらも諦めがついてしまったんじゃないかと思う それでも世界を崩さないようにしていた そういう人なのだと思う
「本が好きで、本を読みすぎて狂ってしまった」などと言われていて、"狂った"の真偽は別として学がある方だったのだと思われる 降ってきたのがクソでけえ隕鉄だと理解していた事から推測できる(本当に隕鉄だったのかは分からないけど)
契約ができる隕鉄くらいあるだろ 知らん でもそのサイズの隕鉄が降ってきたら、もうちょっと周辺地帯が大惨事にならないか…? 不思議パワーを持った隕鉄なんだから大丈夫ですよ なるほどなぁ
"意思"があり、血族であるかないかは関係なく拒絶する事もある
そうでなくとも"石"って無機物なのでどちらかと言えば"死"のイメージがありますよね あるいは"死"すら超越した、長い時間を経ても残り続ける"不死"のイメージがあります 神秘性もある
産屋
"生"のイメージがありますが、あんな無機質な場所嫌や「産屋に入る(事は勿論、そこへ案内する)のは禁忌」
出生率だとかそういう視点もあったんでしょうけど"出産"ってのは神聖視されがちですよね 穢れ(褻)は持ち込んじゃあいけないんです多分 この穢れは(本作では)"悪意"と言い換えても良いのでは
これから産まれてくる無垢なものに、俗世の我々が触れてはいけない…ってのは、まあ聞きますよね
しかしながら、その産屋が"石"で構成されていて、そもそも下の世界で産んだ子供は、"生きて"いるのか…?
「死んだモノの方が多い」
幼少期母(ヒミ)と時間軸が同じになったのは、月並みな言い方だが「"死"は平等」であるからなのではないか
しかしそうなってくるとキリコさんだけが異質な存在になるのだけれど…もしかして血族なのか、過去に飲み込まれたことがあるのか、単純に巻き込まれただけなのか
謎です
だってパンフも何もないので
個人的には2番目だと思う
必要があって下の世界に呼ばれているような気がするので
思い出したら、ヒミと同じ扉を通って帰ったのでやっぱり、一度来ているのだと思われる
それも、眞人についてきた時と同じような状況が当時(母幼少期の神隠し)もあったのだと思う
「あの塔によって色んな世界が繋がっている」
ここで言う"世界"はおそらく"時間"なのだと思う
幼少期母が本来いた時間と眞人の生きる時間(そして母が死んでしまった時間)は彼女の視点では別の"世界"ということになる
時間軸って言葉、便利すぎるだろ 要は時間軸です
おそらく、定期的に血族を呼び寄せていたと考えられます
"塔"とった舞台の上下構造が監督の作品でよく出てきているような気がして(というか上下構造について語っている絵コンテか何かがあった気がする)、ラピュタしかり、千と千尋しかりですが
本作は分かりやすく、一番上には王様(大叔父様。下の世界の創造主)がいて、終盤でインコ共はそこへと続く塔を登っていくわけです
そう考えると(記号的には)"生"イメージがある産屋が"下"の方、つまりは下の世界(地獄)の中でも特に"死"に近い、あるいは濃い場所に位置していた
[産屋]でも書きましたが、生まれながらにして"死"に近い何かを[石]は作ろうとしていたということなんだと思います うおお上位存在ムーブだ!
鳥
鳥は…何でしょうね?鳥=飛来するもの,(何かを)運んでくるものなんですけど、監督の作品でばっちりと「鳥やで」なモノと言うとナウシカのメーヴェくらいしか浮かんでこないので分かりません
後付けでどうとでも言えそう 戦闘機だとかと結びつければ、まあ"死"のイメージになるかなと
アオサギ、ペリカン、インコのそれぞれ、何かしらの出典があるんだと思います
インコ大王
これだけ見たらバカみたいな小見出しじゃないですか? しょうがねえだろ そうなんだから
でも大王はバカです インコなので 積み木が出来ません "悪意"を理解していません バカでインコなので 悲しいね
恐らく、大王が居ても居なくても世界は崩れていた 早いか遅いかの違いでしかなかったのだと思う 悲しいね
でもトドメを刺したのはお前やぞ
今日はここまで
とか何とか全体を通して観て「なるほど。死を連想するものが多いな」という感想から色々な場面や描写に当て嵌めて思い出して「あれもそう。これもそう」な感じで殴り書きました
後付けで書いてます
けど「あれもこれも、"死"塗れだぜーーーッッ!」な視点で見てました
あとから「"生"もあったな…」になりました
登場人物のあれこれも書いておきたいんですけど、眠いので寝ます
起きたら書いておいてくれ
追記(2023.12.31)
『プロフェッショナル 仕事の流儀 ジブリと宮崎駿の2399日』(2023.12.16放送)見ました? 答え合わせされちゃったな… 映画の公開直後はツイッタランドで「大叔父=高畑勲」説とか色々流れてましたけど、その通りで涙出ちゃった
「自分を追い込むと頭の開いちゃいけない部分が開いて"創作"ができるようになる。けれど今回は"開きすぎた"」とか語っていました(しかもその"開きすぎた"様子がカメラに納められていた訳ですが)。そういった、宮崎駿の人間臭い部分がとても好きです
2週間前に見た内容を思い出して書いているので、今回はそんなところ
投稿したと思っていたら下書きのまま169日経ってました。そんなことある?
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